気づけば、追う立場から追われる立場・・・・・

ナショナルチームのメンバーを離れ、昨年技術選にデビューした猪又一之。右も左も分からぬままに初出場した技術選でいきなり総合7位に入り、周囲を唸らせたことは記憶に新しい。そのシーズン終了後に行なったSGインタビューにおいて、「総合7位は満足。いずれは技術選でも優勝争いに加わりたい」とコメントした猪又だが、基礎スキー転向後2年目にして何と総合優勝を果たしてしまつた。もっとも、彼の滑りを見る限り、それ程基礎を意識したようなイメージはない。「ヮールドカップ経験者にしかできない滑りをしようと、ナショナルチーム時代の仲間と話している」 アルペン時代からずっとアルペル・トンバの滑りを目指してきたという。無駄のないアルペンテクニックは全てのスキーに通じるという持論を持つ彼の滑りは、実にダイナミック且つスピーディーだ。そのくせ、競技出身者にありがちな雑さはない。スピードをキープした中で、斜度、雪面状況に応じた様々なテクニックを適確に使い分けるあたりが、猪又の長所。とにかく限界の高さが光る。
準決勝で1位2種目、2位2種目を取り、すでに総合1位につけた。「今回だって粟野さん、一樹さんあたりについていければと思っていた。ところが準決でいきなり追われる立場に立ってしまい、決勝は精神的に自分を上手くコントロールすることで精一杯だった」 昨年はさほど演技を意識するでもなく、「自分の滑りでどこまでいけるか」だった。ところが、色々な情報を得た今年は、逆に滑りに戸惑いが生じ、甲信越予選での結果は今一つ。「情報過多の中で色々試してみて、気づいたら自分の滑りを失っていた。ここへ来る前に国体に出て、がんがんポール滑ってたら「あぁ、これが自分の滑りだよな」という感じで感覚を取り戻すことができて、今回の全日本につながった」 やはり、猪又の滑りはアルペンで培ったテクニックによつて成り立ち、それが他の選手とは違ぅ「味」となっているょうだ。今年は、特に切り返しの通さを意識したという。「スピードは意識するまでもなく、本能的なもの。他の選手の滑りを見ると、流れを止めるエッジングをしていると思う。止めるエッジングと走らせるエッジングの違いかな」 スピード、キレ、安定したリズムと正確なターンコンーロール。全ての要素
を自分の物とした猪又の今後に注目したい。
順決勝
小向り(中斜面・整地・規制→リズム変化) 284Point
小回り
(急斜面・不整地・規制→雪面コンタクト) 289Point
大南り
(急斜面・整地・規制→深回り) 285Point
総合滑降
(中斜面・不整地・規制一リズム変化) 281Point
決勝
小回り
(急斜面・整地・フリー) 282Point
小回り
(急斜面・不整地・フリー) 283Point
総合滑降
(総合斜面・不整地・フリー) 285Point
回転競技
(デュアル方式・総合斜面・整地・計測) 285Point