3月10日  準 決 勝

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ジャッジの視点

●A班統括審判長 岸 宏
小回り
 コブとコブの間隔が広かったため、大変リズムの取りにくいバーンだったので、様々な回転弧、様々な舵取りと、より多くの条件下でトレーニングをしたか、していなかったかが明暗を分けたと思う。コブというのは、頭から次のコブの頭までが舵取りのラインになるが、テールを振るような滑りの場合、次のコブの手前でスキーを横にしてしまい、次のターンでコブにぶつかり、上手く越えることができない。コブの中でも弧を描くということは当然必要なことであるから、様々な弧を描く、スピードや質で描く、そういった部分というのは、経験を積むことで習得できる。上位にきた選手と、そうでない選手というのはそのあたりで違ってきているのではないか。言い方を変えるならば、コブをあまり滑っていないような気がする。整地でのカービングはそれなりに上手く滑ることができるが、コブなどの用具の性能が大きく影響しない斜面では、スキーヤーの技術力で滑るしかないので、基本は身体、重心移動しながら滑るということがスキーの原点ということを考えてほしい。そういった意味での勉強が不足しているように思える。

総合滑降
 強風のため、斜面が兎平からウスバへと変更されたので、斜面もあまり急ではなく、ウェーブも大きくなく、選手にとっては滑りやすい条件になったと思う。しかし、逆に小さなミスが大きく影響したのではないだろうか。また、リズム変化やスピード変化などの構成力も問われる種目となった。たとえターンそのものが良くても、スタートからゴールまで単調な大回りの連続では、ジャッジ的な観点から言えば印象度が薄く、点数がでない。そのなかでも284点を出した山田卓也選手の滑りというのは、構成力に優れスピードに変化を持たせるなど、視覚的に訴える表現力があり、それが高得点に繋がったのではないだろうか。

●コーディネーター 平川仁彦

準決勝総括
 今日の3種目を見ていて感じたことは、滑りが明確に2タイプに分かれているという点。ロングターンは、外脚主体で体軸を巻き込みながら回旋していくタイプの人と、腰の上下を出して内傾角を出せる人。スタンスを見てもよく判る。柏木君はマキシマムでうまくスタンスを広げて上下を出す。それが、描くターン弧の深さとスピードがマッチしていれば点数が出ている。スピード感や流れも重要だ。八方はシチュエーション的にはハードではないが、見る位置、視点が今までの大会と違うから、トータルな要素でまとまっていないと上位には入れないと思う。総合技能を求められる斜面設定だった。この得点差だと、ミスした人が落ち、まともに滑ると多少得点が行き来するという状況だろう。
 ショートターンにも2つタイプがあり、落差を取ってこれる人と、エッジを立てる方にポイントが行っている人はアクティブに見えるが、そこからスキッディングをうまく使って返す方に、トップを下に向けていける人と、トップが反動でブレてしまう人もいる。実際には、落差を大きく取ってきた選手にかなり良い点数が出ている。エッジをぶつけるだけでスキーの落下を止めるような滑りの選手に較べ、相対的には差が出ている。

決勝3種目の見どころ
「ジャンプ台での種目は、テクニカルな面として両脚をきちんと使える人、状況をコーディネートできる人、ジャンプ台の斜度変化の中ではとくに小回りは格差が出るでしょう。スキーコントロールも、重心移動でできる人と脚力でやってくる人とでは、重心移動の方が高い点が出るでしょう。切り換えでトップを下に向けていける選手に高い点が出ると言えます。

●B班審判員 小林 平康

大回り
 コースがウスバの斜面に変更になり、ウェーブがあって変化に富んだ斜面での大回り種目となりました。高得点を出した選手は回転弧を描くスピードが非常に高かった。これが評価の非常に大きなポイントだったと思います。もうひとつは、エッジングの質と言われる部分で、この部分がどんどんスキー用具とともに進化していますので、最先端を行く滑りに高得点が出たと思います。さらに、もう一点は切り換えの部分で、すばやい切り換えももちろん必要なんですが、重心を谷方向に落としこむことができる選手ほどさらに高い評価を得た、柏木選手や伊東秀朗選手は、速くかつ非常にタイミングよくエッジングに入れるポジションに重心を落としていましたから、そこが評価が高かった点だと思います。また、ウェーブの処理等については、総合滑降とは違い、あくまで大回りをしながらウェーブを処理する能力をジャッジしますので、ウェーブのための滑りという観点ではありません。あくまでも、大回りの回転弧のなかで、ウェーブを処理してきた選手、そういった処理の仕方が評価されたと思います。

総合滑降
 総合滑降はトータルな技術を演技できる種目ですので、ウェーブでのジャンピングやエアターン、吸収動作も含めて、表現できることがたくさんありますから、表現の種類を多彩に持っている選手ほど有利だったような気がします。山田卓也選手は、とにかく非常にタイミングが良かったんじゃないかと思います。ココというところで非常にタイミングよく切り換えていたし、ここに来てほしいなというころで、さらに、我々が思っている以上の滑りを見せてくれました。

大回り、総合滑降で印象に残った点
 若い選手のなかに、スピードに強い選手が現れてきたことが総合滑降や大回りでは目に付きます。女子についても、実際にスタートからゴールまでタイムを計ると、男子とあまり差がありません。それほどスピードに関する能力が高まってきたことは確実に言えると思います。これもやはり、スキー用具の大きな変化に選手が技術を磨いているといえることだと思います。

決勝の見所
 大回転に関しては、若手の選手が相当力を発揮するのではないでしょうか。そこでベテラン選手がどこまでポイントを維持して、午後の白馬シャンツェの2種目へ向かえるか。最大斜度が37度以上となると、単純に速さだけではうまく滑れないという条件になり、若手とベテランとの攻めぎあいが見られると思います。選手たちがあのランディングバーンでどういう滑り方をするのか、ギャラリー同様、我々も非常に興味深く、楽しみです。


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