Cafe de Colombia SKI WORLD CUP 1996/97
Shiga Kogen(JPN). Men's Slalom. 09,Mar,1997
キミノブ、自己最高を更新して4位。優勝はトーマス・スタンガジンガー(AUT)


上からヤーゲ、フルセト、スタンガジンガー
 3月9日、志賀高原・焼額コースで男子回転第9戦が行なわれた。長野オリンピックを1年後に控えたプレ・オリンピックの主役は間違いなく日本のエース、木村公宣(ロシニョールジャパン)だった。第1シードを背負っての凱旋。そして多くのプレッシャーをはね除けて自己最高の4位をゲットした。

 1本目、前日の大回転とは一変して雪模様。前夜、水を撒きアイスバーンとなった焼額のコースは、難度の高いトリッキーなセットが立てられ、次々と選手を罠にはめていく。まず3番スタート、スラローム種目別総合ののチップを走るトーマス・シコーラがアウト、続く4番、直前まで来日が危ぶまれていたアルベルト・トンバ同じ箇所で失敗を犯しコースを外れる。1万5000人の観衆も興奮の度合いが高まる。

 ゼッケン8番、木村公宣がスタート。前半で内倒からスキーがまっすぐに走ってしまう失敗でスピードダウン。急斜面で挽回を図るが再びバランスを崩したままストレートに入ってしまい、危うくコースアウトしかかる、だが驚異のリカバリーでクリア。この2度にわたる大失敗にもかかわらず1本目はトップのオーレ・クリスチャン・フルセト(NOR)に0.94秒差の8位で通過した。

 1本目は半数以上が途中棄権する波乱の展開になった。冷え込んでコースが荒れなかったせいもあり、ゼッケン後半から若手の選手が次々と30番以内に飛び込んできた。平沢岳(志賀高原SC)は0.02秒差で2本目に進めず、石岡拓也(ヤマハ)は20位でゴールしたが旗門不通過で失格した。

 2本目、下位からから這い上がってきた若い選手達は、臆することなく攻撃を仕掛けた。スーパーランの続出、逆転に次ぐ逆転、会場の興奮はいやが上にもヒートアップしていく。

 いよいよキミノブのスタート。場内アナウンスが聞き取れないほどの観衆の声援。途中計時でトップに立ったときはそれが爆発した。滑りは力強かった。高度の緊張とリラックス。過度のプレッシャーが掛かるこの状況でもキミノブは決して守りには入っていなかった。そしてゴール。それまでトップのアンドレイ・ミクラウス(SLO)を0.07置き去りにしてトップに立った。掲示板も見ず両手を上げ、ガッツポーズでゴール。観衆の雄叫びでトップを知ったキミノブだった。満場の歓声が大気を揺らす。みな言葉にならない声を上げていた。トップという結果よりも彼の滑りそのものが感動を喚起していたのだ。

 次のシーグフリート・フォグライター(AUT)がカタ反、調子を取り戻しつつあったセバスチャン・アミエ(FRA)もキミノブを抜けない、ここで6位が確定。会場は「もしや」の雰囲気に包まれる。
 しかし、続くフィン・クリスチャン・ヤーゲ(NOR)が切れのいい滑りでキミノブの上に立った。歓声が一瞬ため息に変わるが、すぐに彼にも祝福の声援が送られた。怪我により一度はどん底に落ちたヤーゲが日本の「ヤマハ」スキーを履いて蘇えり、マドンナで勝ち、アルベールビルで勝ったこと、そしてこれがヤマハを履く最後のレースであることをみんな知っていたのだ。

 1本目4位のマリオ・ライター(AUT)がゴール直前で派手なコースアウト。会場は再び興奮状態に陥る。さらに直前の世界選手権の王者、トム・スチアンセン(NOR)も大きなミスでタイムロス。キミノブに届かず自己最高の4位が確定した。

 あと二人だがここからは強い。トーマス・スタンガジンガーが浮かれた夢から揺り起こすかのように的確な滑りでダントツのトップタイムを刻んだ。そして最後、1本目トップに立ち、久々の優勝を狙うフルセトを待った。

 かつて荒々しく攻撃的な滑りから「北欧のドーベルマン」と呼ばれ、'89年の日本に於ける最終シリーズでは2勝を上げているベテラン、フルセトのその気迫はいまだ熱い。
 だがフルセトは前半で転倒、すぐに立ち上がってアタックをかけるが、明らかにバランスを崩しスピードに乗れない。ミスした箇所の旗門通過も微妙だ。何とかゴールしてタイムはキミノブを上回っているが、会場はその旗門通過の審議を待って静まりかえった。やがてフルセトの旗門通過は正式に確認されキミノブの4位が決定した。ベスト3の表彰台こそ逃したが自己最高位の更新だ。観衆は改めて彼に祝福の声援を送った。


 「本当に嬉しいの一言です。日本の大会で自己最高に入れたことは本当に嬉しい。最後は疲れましたが、みなさんの声援が後押しになりました。ありがとうございます」。

Rank Name Nat. Total time
 1 STANGASSINGER Thomas  AUT   1:41.10
 2 JAGGE Finn Chr.  NOR   1:41.94
 3 FURUSETH Ole Christian  NOR   1:42.32
 4 KIMURA Kiminobu  JPN   1:42.38
 5 AMIEZ Sebastien  FRA   1:42.44
 6 MIKLAVC Andrej  SLO   1:42.45
 7 CHENAL Joel  FRA   1:42.73
 8 STIANSEN Tom  NOR   1:42.98
 9 HANSSON Martin  SWE   1:43.02
 10 AAMODT Kjetil Andre  NOR   1:43.71
 11 ROLLAND Eric  FRA   1:43.96
 12 BOURGEAT Pierrick  FRA   1:44.25
 13 SCHILCHEGGER Heinz  AUT   1:44.28
 14 PAGE Kevin  FRA   1:44.36
 15 VRHOVNIK Matjaz  SLO   1:44.89
 16 DE CRIGNIS Fabio  ITA   1:45.02
 17 LADSTATTER Konrad Kurt  ITA   1:45.29
 18 VIOLON Pierre  FRA   1:45.42
 19 GRUBELNIK Drago  SLO   1:45.44
 20 HAYER Stanley  CAN   1:45.52
 21 BERGAMELLI Sergio  ITA   1:45.58
 22 STRAND NILSEN Harald Chr.  NOR   1:45.60
 23 ROCCA Giorgio  ITA   1:45.77
 24 SCHNITZENBAUMER Sven  GER   1:46.41

Did not start 1st run:
MAN DE Harald II (NED), KOBLAR Jernej (SLO)

Did not finish 1st run:
MAYER Christian (AUT), SYKORA Thomas (AUT), GRANDI Thomas (CAN), HARDENBERG Arne (DAN), MARILA Mika (FIN), SIMOND Francois (FRA), ERTL Andreas (GER), SPEISER Gerhard (GER), TESCARI Fabrizio (ITA), TOMBA Alberto (ITA), HOLZER Patrick (ITA), URAKI Kenta (JPN), OKADA Rishu (JPN), OTAKI Tetsuya (JPN), BURAAS Hans-Petter (NOR), KJUS Lasse (NOR), WALLNER Johan (SWE), NYBERG Fredrik (SWE), ACCOLA Paul (SUI), VON GRUENIGEN Michael (SUI), PLASCHY Didier (SUI), GROSJEAN Matthew (USA), PUCKETT Christopher (USA), KNIGHT Chip (USA), KOSIR Jure (SLO), MLEKUZ Rene (SLO)

Did not finish 2nd run:
MADER Guenther (AUT), REITER Mario (AUT), VOGL Alois (GER), ZINSLI Andrea (SUI)

Disqualified 1st run:
ISHIOKA Takuya (JPN)

Disqualified 2nd run:
VOGLREITER Siegfried (AUT), EBERLE Markus (GER)

Did not qualify 2nd run:
DIMIER Yves (FRA), BELFROND Matteo (ITA), BERGAMELLI Thomas (ITA), HIRASAWA Gaku (JPN), KAELIN Urs (SUI)