ALPINE SKI WORLD CUP 2000/2001
Kitzbuhel (AUT) Men's 5th Downhill. 20,Jan,2001
Hahnenkamm Downhill 1st/ Hermann Maier(AUT) 2nd/ Hannes Trinkl(AUT)
3rd/ Daron Rahlves(USA)

 男子滑降第5戦は1月20日、キッツビューエルで行なわれ、ヘルマン・マイヤーがこのコースでの初優勝を上げた。これまでハーネンカムの滑降では一度も勝てなかった「ハーミネーター」だったが、5回目の出場でようやく勝利を上げることができた。通算ワールドカップ35勝、滑降9勝目である。
 2位にハンネス・トリンクル(AUT)、ステファン・エバハルター(AUT)とダロン・ラールブス(USA)が同タイムで3位を分け合った。

☆☆☆鈴木勝=フジテレビ・コーディネーターのスペシャル・レポート☆☆☆
 
懸念された天気は何とか持ちこたえました。気の早い観客はもう8時ごろにはツィールシュスカンテの上に陣取っています。朝方は未だ陽が残っていたのですが、10時頃から高雲が覆い始めて来ました。まあ昨日の予報では雪か雨でしたから視界が多少悪くなくなるくらいは良しとしましょう。
 キッツの人達にとっての「THE RACE]とは何と言ってもシュトライフの滑降です。時速130kmを越えるスピードでザクザクと無造作に切り出したような連続する氷の急斜面をすっとんで行くこのダウンヒルに勝つということは、地元オーストリアの選手にとっては勿論、おそらくスキー選手全ての夢であり、オリンピックで勝つのに匹敵するぐらい名誉なことなのです。だから観客の集まり具合も他のワールドカップ大会と比較して異常なくらいです。朝方多少鈍かったように見えた観衆の出足も11時くらいには既に平らなところはほぼ満員、上に行けない観客はゴールに面して設置された2つのVIP仮設スタンドの後方にまで溢れだしています。ざっと見て6万人は居ますね。

 今日の勝者を予想するロトスキー(ウエブサイト:betandwin.com)の最高人気は問題なくヘルマン・マイヤーで単勝2.75倍、3位連勝1.4倍、2番人気がペピ・シュトロブルで同4倍・1.6倍、3番人気はラッセ・シュースで同7倍・1.8倍、ハンス・クナウス2位に至っては同50倍・12倍でした。
 ところで何時もメインスポンサーだったBMWが今年はAUDIに変わりました。何時もプレス用に小さなメモ帖を用意してくれて重宝していたのですが・・・。

 12時、シュマルツルがセットしたシュトライフのコース1番スタートはアレッサンドロ・ファットリ(ITA)、1分59秒55がとりあえずの参考タイムです。今日は1分57秒位が勝負ではないかと思っていたのですが、ハウスベルグカンテをまっすぐネットに突っ込んで怪我したハンス・クナウスに次いでスタートした4番ゼッケンのラッセ・シュースがあっさりと1分57秒70をマークしました。そして今日の本命ヘルマン・マイヤーです。「今日は視界も良くないし、昨日のSGから見て相当早いレース展開になるだろう。とにかくマキシマムにリスクを張って自分をプッシュするだけ」と言う作戦が好を奏して1分56秒84でゴール。「ここキッツはテレビのカベレージも最高だし世界中のジャーナリストが注目する大会でこれに勝つことは大いなる名誉だ。ここで勝ったフランツ・クランマーは国民的英雄だし、自分にとってもアイドルでありヒーローだ。」
 続くシュテファン・エバーハルターが「今シーズンは高速系のトレーニングを余りしなかった割りには・・・」と言いつつ1分57秒46でシュースとの間に割りこみました。「ヘルマンに勝つには数センチでもラインをはずしたらダメ、完璧なレースをしない限り勝てないだろう。だけどまあ3位でも表彰台の上にいるからね」。
 昨日のSGも出場しなかったクリスチャン・ゲディナは腰痛で今日も欠場。2番人気のペピ・シュトローブルはオーベルハウスベルグカンテでの失敗から立ち直れずコースアウト。トレーニングで調子の良かった9番スタートのハンネス・トリンクルが「ハウスベルグカンテの手前でライン取りをほんの少しオーバーしたので今日は勝てないと思った」とのセルフアナライズ通り100分の27及ばず2位。「今日の滑りでは1位を失したのではなく2位を勝ち取ったと言うべきだろう。」
 オリンピックや世界選手権など重要な大会の前になるとどういう訳か頭角をあらわしてくるアメリカチーム、今日も13番スタートのダロン・ラルヴスがエバハルターと同タイム3位でした。
 最高時速130kmを越えるスピードで足もすくみそうな青氷の高度差863m長さ3312mを2分足らずで滑降してくるこのシュトライフに大半のここにだけしか来ないジャーナリストが選手に質問します。「キッツのコースは危険と思わないか?」「キッツのオアーガナイザーの素晴らしい準備で最高のコースコンディションで、別に危険だとは思わない。世界選手権を控えて各選手もマキシマムのリスクを取らざるを得ないために多少のアクシデントは避けられないだろう。」

 オーストリアの観衆も一部には余りにも強すぎる自国チームに食傷気味?ヘルマンが勝ったと知るや「シャイゼ!」の声が聞こえました。ヘルマンには盲目的ファンとアンチヘルマン派に分れるようです。6万を越えるであろう観客は夜5時半の表彰式とスラロームのドローイングに、約半分の観衆が流れてきて熱狂的な声援を送るさまは、極右内閣が生まれる理由が分る気がします。